なぜ男は女より地位や収入にこだわり、それを誇示するのか?
一般的に男は女より地位や収入にこだわる。そして、地位や収入を手に入れた男は、自分がどれだけ偉いかをなにかにつけて自慢したがる。「社長、社長」「先生、先生」とおだてられて悦に入っている男の顔は即座に眼に浮かんでも、同じ状況の女の顔を想像するのは難しい。
地位や収入を誇示する傾向は、実際にそれを手に入れた、年のいった男ほど強い。しかし、若い男も本質的には変わらない。
たとえば、アメリカの大学生108人が異性に示した行動を、同性の親友に観察してもらった結果だ。高い車を乗り回すといった経済力の物質による誇示と、自分の仕事がどれほど重要で自分はどれだけ業績をあげたかといった地位や経済力の言葉による誇示の2点について、その頻度を
4段階で評価してもらった。観察期間は3ヵ月。Oが「一度もない」、1が「たまに」、2が「ときどき」、3が「ひんぱんに」である。
若い大学生が、地位や経済力を誇示する頻度は全体的に低い。しかし、男子と女子の違いは明らかだ。確かに男子のほうが地位や経済力を誇示する頻度が高くなっている。
なぜ、男は女より地位や経済力にこだわり、それを誇示するのか? それは地位や経済力が、とりもなおさず女が男に求めるものだからだ。男はそれなりの地位や経済力を手に入れ、それを手に入れたことを女に知らせなければ、パートナー獲得競争で勝ち残ることはできない。
だから、男は高い地位や経済力を得ようと努力する。そして、手に入れたら自慢する。自分に地位や経済力があること、それらづほかの男の地位や経済力にまさることを、あるときは露骨に、おるときはさりげなく宣伝するのである。
ライバルをけなすのも一策
男がパートナー獲得競争に勝ち残る方法。それは、1つとはかぎらない。努力して自分の地位や経済力を上げ、それを宣伝するという正攻法もある。しかしライバルの足を引っ張るという方法もある。相手の価値を下げることによって、相対的に自分の価値を上げるという手だ。たとえば、女性が男性Aの前で、別の男性Bのことをほめたとする。それを聞いた男性Aの[でも、あいつはさあ、○○なんだぜ]というひと言、あなたが男性ならいったことがあり、あなたが女性なら聞いたことがあるはずだ。
ある研究では、まず大学生の男女80人に同性のライバルの好感度を下げるためにいいそうなこと、やりそうなことを挙げてもらい、それを似たもの同士の28の戦術にまとめた。「人に好かれないという」「知性がないという」「スポーツで負かす」といったぐあいだ。次に別の大学生の男女120人にたずねた、「男が男のライバルの価値を下げようとする場合、女が女のライバルの価値を下げようとする場合のそれぞれで、各戦術はどの程
度使われると思いますか?」。評価は7段階方式。1が「まず使わない」、7が「とても使いそう」だ。
統計的に意味のある男女差が見られた戦術のうちで、男が女より使うという結果のでたものだ。さまざまな差別を口にするのをよしとしないアメリカなので、数値自体は低いものが多い。しかし男子のほうが、経済力、そして肉体や人間関係における優位性を示す傾向が強いことは見てとれる。
これらの戦術の効力を示したデータは見あたらないが、相手の価値を下げることで相対的に自分の価値を上げるという行動は、ひっそりと、しかし確実に行われているのではないだろうか。
避妊しなかったら、いまも金持ちの男ほど子だくさん?
現在のような避妊手段のなかったころ、男は経済力があればあるほど多くの妻や愛人をもち、多くの子を残したはずだ。つまり、金持ちほど子だくさんだったはずだ。ところが、現代の先進諸国で同じ現象を目にすることはまずありえない。進んだ避妊技術によって、セックスの回数が子の数に反映されないからだ。
しかし、現代の女も経済力のある男を好む。ということは、避妊をしていなかったら、収入の高い男ほど子だくさんなのだろうか?
これをカナダ・ケベック州の独身男性を対象に調べた研究がある。まず男性たちに年齢、年収、そして、過去1年間にパートナー(1人、または複数)と何回セックスをしたかをたずねた。この情報をもとにもし避妊をしていなかったら何人の子ができていたかを推定した。そして、収入と推定した子の数との間にどれだけ強い関係があるかを計算した。
この研究結果をまとめたのが右ページのグラフだ。横軸は男性の年齢層を、縦軸は収入と推定した子の数との関係の強さ(相関係数)を表している。ゼロに近い相関係数は収入と子の数にあまり関係がないことを意味し、1に近い相関係数は、収入が多いと子の数が多いという傾向が強いことを意味している。
収入が多い男ほど子の数が多い。しかし、調査した男性全員では相関係数は0.3と、その傾向はそう強くない。ところが、30~39歳では相関係数0.6、40~49歳では相関係数0.8と、年齢が上がるにつれて収入と子の数との関係は次第に強くなる。つまり、若いときには、収入にあまり影響されずにセックスをして子をつくることができるが、年をとるにつれて収入が高くないとセックスも子づくりも難しくなる、と考えられるのだ。
年をとればとるほど、男がセックスをするには金がものをいう。経済力なしには、男の春も長くは続かないようだ。
